2017年「ミス三重」90周年里帰り
人形交流90周年の2017年。答礼人形「ミス三重」がネブラスカ州立大学から里帰りをしました。三重に里帰りしたのは、これで2回目です。
今回の会場は三重県立総合博物館「みえむ」で、7月11日~9月3日(月曜休館)で約1万5千人の方が「ミス三重」とお道具、今も残る三重の「青い目の人形」9体、そしてギューリック3世ご夫妻から頂いた「新友情人形」2体に会いに来て下さいました。
また会期の初めには、みやぎ「青い目の人形」を調査する会やドロシー・バーキーさんのご厚意により、答礼人形「ミス宮城」も一緒に展示することができ、まるで姉妹のようでした。
思い出深い2ヶ月をふり返ります。
「ミス三重」が7年ぶりにネブラスカから里帰りして、みえむに到着しました。9体残っている三重県の「青い目の人形」もみえむに集まりました。ギューリック3世から三重に頂いた2体の「新友情人形」もそろいました。
さらに「ミス宮城」も来日して仙台での展示の前にみえむに来て下さいました。
いよいよ里帰り展が始まります。
7月7日にネブラスカ大学州立博物館のスーザン・ウェラー館長も来日。さっそく「ミス三重」やお道具類の開封に立ち会ってくださいました。
笑顔がとても素敵な方で、こちらの展示上のリクエストにも気さくに応えて下さいました。
スーザン館長は、みえむで開催されていた自然観察教室にも足を運ばれ、楽しいスピーチもされました。
スーザン館長は昆虫の専門家です。参加されていた方も、気さくなこの方がアメリカ昆虫学会の会長さんと知り、驚かれていました。
お昼に青木勝さん(吉德)が「ミス宮城」と「アニー(エセルアルワ)」を持って会場に到着。さっそく「ミス宮城」と「ミス三重」の着付けをして下さいました。
「ミス宮城」は少しうつむき加減なので、おとなしく慎み深い印象がありますが、よく見ると目に力があり、「ミス三重」のお姉さんのように見えました。
7月23日までの限定展示です。
人形などの開封や展示、展示パネルの貼り付けは日通の方がして下さっています。
レーザービームで水平や垂直を取り、きちんと寸法を測っての展示は、さすがプロでした。
人形の置き方も、とても丁寧でさすがでした。
会場準備は9日もおこないました。
17年7月11日。いよいよ「ミス三重」里帰り展のオープニングです。
セレモニーは、藤舎名法さんによる篠笛の演奏から始まりました。すばらしい静寂の音がホールに響きました。
続いて、会員の佐竹さんを中心にお琴の演奏です。
とても澄んだ音のアンサンブルでした。
ネブラスカから来られた州立博物館のスーザン館長も、和楽器の音色を楽しまれたでしょう。
当会の鈴木副会長、みえむの大野館長のご挨拶の後、ネブラスカ大学州立博物館のスーザン・ウェラー館長のご挨拶です。
冒頭は日本語で始められました。
2009~2010年の里帰りでお世話になった前学芸員のスーザン・カーティスさんからのメッセージも紹介して下さいました。
最後にネブラスカのフットボールチームを応援する言葉
「GO BIG RED」
も紹介される楽しいご挨拶でした。
ご来賓からのメッセージを頂いた後、テープカットです。
テープカットには90年前にお礼の手紙を書かれた浦山さん、新町小学校の児童代表2人も参加されました。
浦山さんが書かれた手紙は今もネブラスカに残っていて、スーザン館長と固い握手をされました。
ネブラスカのデボラさんより、お祝いのメッセージが届きました。ご紹介します。
答礼人形「ミス三重」の会の皆様
この度は、この友情を育むプロジェクトに関わらせて頂き大変光栄に思っております。私の大切な二つの故郷の架け橋となれることは、これ以上の喜びはありません。私の周りの子供たちに日本や三重県、「ミス三重」の事を紹介するのはとても嬉しいです。
こちらの子供たちに心から、日本や日本の人々が大好きになってくれたらいいと願って活動しております。勿論のことですが、世界平和に寄与しているという自覚もあります。
このプロジェクトにかけておられる皆様のご苦労に心からの敬意を表します。
デボラ スタージェン
ギューリックご夫妻は17年7月13日に来日され津市で宿泊、翌日14日に津市立一志東小学校を訪問されました。
一志東小学校には「青い目の人形」のメリーちゃんがあります。
大きな拍手に迎えられて入場されました。
ビデオを見た後、ギューリックさんが子どもたちに話をされました。この時、一志東小学校に「新友情人形」のヒルダちゃんをプレゼントすることを発表され、通訳をされたALTの先生も驚いた顔です。ヒルダちゃんは来年のひな祭りに頂ける予定です。
子どもたちは校歌と歓迎の歌を歌って下さいました。
校長先生の指揮に合わせて、すごく大きな声で上手に歌われたので感動しました。
その後、校長先生が日本語と英語で、ギューリックご夫妻にお礼の言葉を贈られました。子どもたちから花の贈呈もありました。
子どもたちが体育館から出る時に、笑顔で交流するギューリックご夫妻。子どもたちが本当に好きだということが伝わってきました。
その後、用意して頂いた紙に子どもたちへのメッセージとサインを書かれました。そのメッセージを見れば、子どもたちもギューリックご夫妻を思い出すでしょう。
メッセージを書いている時に聞こえてきた太鼓の音。大きな音に誘われるように体育館に戻ると、6年生が太鼓の練習をしていました。その上手さと迫力にまたまた驚きました。
この子たちの卒業を、メリーちゃんとヒルダちゃんが一緒に祝ってくれるでしょう。
とても楽しい一日でした。
7月15日にギューリックご夫妻と青木勝さんがみえむにおいでになり、11時と14時からお話をして下さいました。
ギューリックさんは1927年に人形交流を提唱・実行されたギューリック博士のお孫さんで、ご自身も30年前から「新・友情人形」の贈呈をされています。
青木さんは吉德で多くの答礼人形の修復に携わり、まだ見ぬ11体の答礼人形を探し出し、修復し、里帰りさせることに情熱を傾けられています。
青木さんのギャラリートークでは、答礼人形の作られ方や価値などを詳しく話して下さいました。
お話を聞くと、並んで飾られている「ミス三重」「ミス宮城」がとてもすばらしい宝物であることを実感できました。
ギューリックさんから、みえむに「新・友情人形」のミミーちゃんを贈りたいと発表がありました。来年のひな祭りに届く予定です。
「新友情人形」の服やかばんはすべてフランシス夫人の手作りです。ギューリックさんからは「博物館に閉じ込めないで、各地の小学校を訪問させてほしい」とリクエストがありました。ミミーちゃんも喜ぶでしょう。
「ミス宮城」の所有されているドロシー・バーキーさんが、友人のダイアンさん、ジュディさんと7月22日に来館されました。
ドロシー・バーキーさんのお母さんのマーガレット・コルベットさんがオークションで日本人形を買われ、後にその人形が「ミス宮城」とわかってからコルベットさんはアメリカや宮城県で積極的に人形交流をされました。ドロシーさんはお母さんの活動を引き継がれています。
今回の「ミス宮城」特別展示(7/11~23)もドロシ―さんや「みやぎ青い目の人形を調
査する会」のご厚意で実現したものです。
3人はアクティビティにもメッセージを書いて下さいました。ぜひご覧ください。
ドロシーさんたちは豊川市で「ミス愛知」、横浜市で「ミス宮崎」に会われた後、7月30日から仙台市で開催される「ミス宮城」里帰り展に出席されます。
8月16日に、「ミス三重」里帰り展に来場して下さった方が1万人を突破しました。
たくさんの方に見て頂けて、本当に嬉しいです。
アクティビティ「あなたにとって友情とは何ですか」にも、たくさんの方が参加して下さり、壁面はメッセージでいっぱいになってきています。
いよいよ展示も終盤。9月3日の千秋楽を目ざして、あと少しがんばります。
8月27日に青木勝さん(吉德)のギャラリートークを開催しました。
この日は、ネブラスカにお返しするために着付けをおこなったので、初めてケースの外に「ミス三重」を出しました。
そして着物の下に来ている襦袢からきちんと着付けを直したので、普段は見ることのできない「ミス三重」の姿を見ることができました。
赤い襦袢には金色のかざり絵がついています。この金色の部分を好んで食べる虫がいて、食べられると黒く変色してしまうそうですが、「ミス三重」はきれいに元の色が残っていました。
「ミス三重」には竹笛もついています。帯をとると音を鳴らすことができるので、この日は「ミス三重」の声も聞かせてもらえました。
「こうやって、帯を久しぶりにほどいてもらうと、楽になった~って喜んでるかも知れませんね」「今度、着付けをしてもらえるのはいつになるでしょうね。10年先ですかね。」と青木さん。とても入念に、時間をかけて着付けをして下さいました。
「ミス三重」はもうすぐネブラスカに帰りますが、できるだけ早く着物を直してあげたいです。
この日は、二胡の演奏もして頂きました。
「青い目の人形」「靴が鳴る」「ミス三重里帰りの歌」などをメドレーで演奏して下さり、会場がいつもとは違う雰囲気になりました。
「ミス三重」も喜んでいたことでしょう。
どうもありがとうございました。
9月3日(日)で「ミス三重」90周年里帰り展は終了しました。
最終日は600人近い方が来場され、「ミス三重」や県内の「青い目の人形」9体や、ギューリック3世ご夫妻からの「新友情人形」と最後のお別れをされていました。
7月11日からの里帰り展で、約15000人の方にご来場いただき、とても嬉しかったです。ボランティアスタッフの皆さんも本当にありがとうございました。
「ミス三重」はネブラスカに帰りますが、ぜひまた三重に里帰りしてほしいです。ぜひ里帰りを実現させましょう。